The Hurt Locker:ハート・ロッカー


永遠を思わせる戦場
刹那を生きる男たち—




ハートロッカーの手前から眺める戦場


失敗すると「ハートロッカー」行きの爆発物処理班
そんな特殊な任務にから眺める戦場は、張り詰めた緊張感と行き場のない閉塞感の連続だった
ちなみにハートロッカーとはアメリカ軍の隠語で「棺桶」や「苦痛の極限地帯」という意味を持つ


いつ終わるかも分からない永遠と続く地獄の中で進行していく戦争の中で、
スリルだけを生き甲斐にしていた一人の兵士が次第に現れていく心情の変化
一歩間違えれば死が待つ極限の中で彼が見出した自らの使命とは何なのか―


スナイパー同士の銃撃戦の様子や爆弾を処理する描写、
そして戦場でのショッキングな光景が言い知れぬ重苦しさとヒリヒリする緊張感が支配する
また爆発シーンなどのズシンと響く重低音が他の映画追随を許さない迫力を生む


挿入歌をはじめとする巧妙に隠されたメタファーが満載
キャスリン・ビグローの戦争に対する皮肉が込められている
そのため、分かる者にしか分からないメッセージを読み解けるかどうかによって、受け取り方が大きく変わっていく
そのシーンに込められた意味を知ってからこの作品を見ると、ラストの表情が全く違って見えるから不思議だ


元々は、スリル中毒でしかなかった彼が己の無力さを痛感した時、はじめて自らの使命に気付く
そもそも、この爆弾処理という任務は失敗すれば命を落とすが、成功しても誰からも祝福されることはない
なぜなら、元々はアメリカ軍が置いていった地雷を処理しているだけだから


そんな、誰もやりたがらないような仕事にも関わらず、彼はまた戦地へ赴いていった
どんな状況であれ、それでもやらなくてはいけない
なぜなら、これは自分にしか出来ない仕事だから
ラストの彼の清清しい表情はそんな決意を示しているのだった―


とは言え、何の予備知識もなしにここまで読み取るのは正直難しい
自分も映画評論家の町山智浩さんの解説を聞いて、やっと噛み砕くことが出来た
きっと軍の持たない日本人にとっては、米軍における爆弾処理という任務の立ち位置はわからない
これを平和の恩恵とするか、平和ボケとするか―