クロッシング


生きるために、
別れるしかなかった。




国境線にもてあそばれる悲痛な運命


過酷な脱北者の現実を描く
愛する妻を助けるために、脱北を決意する男とその親子の物語
その悲痛な運命に翻弄される子供の健気さに涙が止まらない


この映画を見て正直、後悔すらしてしまった
そう、僕らは見てしまったのだ、海を隔てた隣の国での出来事を―
そう、知ってしまったのだ、そこに生きる人々の実情を―
漠然とNewsを傍観していたような遠い向こう岸の出来事だったのに。
この作品を見た今、あの問題とは無関係ではなくなってしまった。


親子の絆や子供の素直さを前に、やり切れなさが心を締め付ける
彼らを守ってくるものは何もない!キリストは裕福な国にしか来ないのか!?
どこまでも報われない家族の中で主人公だけ神の祝福を受け続けていた最大の皮肉であり、
その祝福を受けたものが一番の苦しみを与えられているという皮肉


この映画の素晴らしい所は、北朝鮮へのバイアスはあまりかかっておらず、
政権批判よりもそこで生きる人に焦点を絞った事で、言葉や映像にせずとも、心に深いメッセージを刻み込む
ここで描かれる「悪」はなにも北の国だけではないのだ


言うならば、まるで現代における「火垂るの墓
ただし、これが現代に起きている、たった今起きている事実である衝撃


ジュニの健気さを前に、溢れ出る何かでスクリーンを見る事が出来ない
何も悪くないのに!思わず口から飛び出す「ごめんなさい」と謝る姿を見て、
涙を流さない者なんているのだろうか?


これを見て何もしない者は偽善者だ