Black Swan:ブラックスワン


純白の野心は
やがて漆黒の狂気に
変わる…




ウィノナ・ライダーが何かを盗られる物語


「レスラー」にて一躍名を上げた名優発掘人ダレン・アロノフスキー
目をつけたのは、清純派というイメージから脱却出来ずに燻っていたナタリー・ポートマン


もはやお家芸とも言える、出演者の実人生を絡めた皮肉的な配役は今回も冴え渡り、
ナタリー・ポートマンは劇中のニナ同様に一つ上のレベルへと押し上げ、しいてはオスカー女優へ導いた!
この皮肉的配役は、主人公を追い詰める新入りバレリ−ナに新人女優のミラ・クニスをおいたり、
トップを追われて堕ちていくプリマ・バレリーナにウィノナ・ライダーって配役はかなり悪意にあふれている


物語の冒頭でオディールの呪いをかけられたオデットは、スワンクイーンを求めて黒い闇へ堕ちていく
まるで鳥かごの中で穢れを知らずに白鳥のように育てられたヒロインは、
今まで人生では想像すら出来ない黒鳥の姿に苦しめられる
まるで黒鳥の呪いに掛けられたかのように、黒鳥の重圧が彼女に押し寄せる
実はギリギリの爪先立ちであった彼女の精神は次第に次第に崩れ始めていく―


現実なのか妄想なのか、全てがヒロインの目線で語られる物語
混沌と絶望の中で、純白のドレスが深紅に染まるとき、
熱狂の渦と神々しいまでの白い光に包まれて、
何かを引き換えに完璧を手にした恍惚の表情こそがこの物語最大のカタルシス!!


全て主人公目線で語られるので、主人公が崩壊していってからは観客も現実なのか妄想なのか曖昧になっていく
白鳥の湖の世界観と相まって、観客すらも深い闇へと引き込まれていく
彼女の心理が観客の脳裏にも侵食し、現実がどこか分からない不安が次第に我々を追い詰めていく
そして、とても細かくてとっても小さいのだが、いやらしいくらいにリアルな痛々しい描写の連続が、
更に主人公と観客である我々に追い討ちを掛けていく


既にヒロインと同化してしまっているからこそ、最後に高みへ上り詰めていくヒロインの姿に感動すら覚える
本来であれば手放しで喜べるハッピーエンドではないのに―
それでも崇高なものへ命を掛けてでも高みへ押し上げる姿は美しく、そして神々しい
最後の血染めの姿に、母親からの呪縛を解き放ち白も黒も知ったニナが「女」となった姿を見るのだ


にしても、相変わらず意地悪なシーンが多く、特にベットの自慰シーンからの…


母親!笑
もはやホラー描写とも言えるこの描写には、心底意地が悪いと思った
成熟と未熟の間を爪先立ちで演じてきたナタリー・ポートマンが、体を張って挑んだ今作、
この作品で彼女が名実ともにまた一つの高みに達したと思わせる演技は必見b