The Grand Budapest Hotel:グランド・ブタペスト・ホテル

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天才がついに本気を出した!


正直、ウェス・アンダーソンを僕は喰わず嫌いをしていた
筋のない物語を延々と語り、味のない綺麗な映像だけが広がる暇な映画を作っている
そんな独りよがりな天才作家だけど、映画監督としては疑問だとずっと思っていた


けれども、そんな下らない偏見はこの作品一発で吹き飛ばされた
人の先入観を根底から覆すくらいに素晴らしい作品だったのだ!


まずは相変わらずのこだわり尽くされた独特の世界観
一目見ただけで「あ、これウェス・アンダーソンっぽい」と思わせる
まるで1シーン1シーンが一枚の絵画かのように計算された構図の中で彼の才能がほとばしる
特に時代がかわるごとに画面の画角が変化する演出には思わず唸らさせられる


執拗なまでのシンメトリーのこだわりと固定されたカメラワーク
まるでキューブリックのようだけど、その均一化された映像で不安を煽るキューブリックに比べて、
ウェス・アンダーソンの映像はどこか安心感を漂わせる
どのシーンを切り取っても印象的でアーティスティックな映像に魅了させられる


さらにシュテファン・ツヴァイクをモデルとしたストーリーは、
たった100分の間に起承転結しっかり盛り込んだ秀逸すぎるドタバタコメディー
グランド・ブタペスト・ホテルの名物コンシュルジュとその弟子が、
激動の時代の中で気高く生きていく姿を描いているのだが、
なぜツヴァイクがこの世に絶望してしまったのかは劇中のグスタヴの顛末を見ればよく分かる


喜劇の中に悲劇と現代への痛烈な皮肉を盛り込み、ほろ苦く締めくくる
世界大戦という愚かな時代でも気高く生きた男が愛用したパナシュの残り香が切なく漂っている


ストーリーも映像も文句のつけようのない最高傑作!
ウェス・アンダーソンが本気を出してエンタメ作品を作り上げたら、そりゃこうなるってこと!
映画好きならばどんな人にでもお勧めできる近年稀に見る名作