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Noah:ノア 約束の舟

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ハッピーエンドは無数の死体の上で


旧聖書の創世記である「ノアの箱舟」をダレン・アロノフスキーらしく解釈
聖書のスペクタクルさは肯定しつつ、そこで描かれた人物たちの姿は、
非常に冷静な視点で、どこか突き放しているかのように描いている


まず、聖書の壮大なスペクタクルシーンの迫力に圧倒される
まるで「ロード・オブ・ザ・リング」のようなSFファンタジーを見ているかのうよう
大木が人間をボッコボコにしたりするのはもちろん、大洪水の迫力たるや…、


「見ろ!!人がゴミのようだ!!」


巻き込まれて無残にも死んでいく人々もしっかり描かれている
どうしよもないくらいの大災害に成す術なく打ちのめされる人間たち
ここをリアルに描く事で、この後にあるノアの苦悩二共感しやすくなった


大災害から次第に物語はダレン・アロノフスキーの真骨頂、人の内面描写へ
この中身が語られるにつれて浮き彫りになるのはダレン・アロノフスキーの冷静な視点
「宗教」が孕む矛盾を容赦なく突きつけてくる


聖書では、予言者という者は神の意図を悟り、一変の曇り無く神のお告げをこなしていく
しかし、この作品でのノアは、酒におぼれたり錯乱したりと非常に人間くさい
ノアを聖人として描くのではなく、普通の人として描く事でその矛盾が突き刺さる


そんな神のお告げをこなすためにノアは自らどんどん狂っていく
「全ては神のお告げのため」として、息子の最愛の人を見捨てたり自分の孫を殺そうとしたり、
苦悩し葛藤し狂っていく姿を見て、一人の男に全人類の命を託した神の無責任さすら感じてくる


そんなシリアスに描きながらもその果てで待ち受ける最後は希望に向かって歩んでいこう的なハッピーエンド
ただ、その手前で罪もない人が次々に死んでいく大災害をまざまざと見せ付けられているから、
正直に言って全然手放しで喜べない


イスラム教圏では上映禁止やキリスト教徒からも反発の声があがるレベルの改編らしいんだけど、
現代的な視点を使い、聖書もしくはキリスト教の狂気を浮かび上がらせた作品ともいえる


まあ、そう思えば価値のある作品かもしれないけど、
個人的にはあまり刺さらなかったかな…