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Juste la fin du monde:たかが世界の終わり

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お前の「たかが世界の終わり」を聞かされてどうしろっていうんだ?




自分の死期を知ってしまった劇作家。
自らの人生を見つめ直した時…
彼がとらなければならなかった行動は12年もの帰郷だった。


何故彼がこの家を出たのかわからない。
そして、彼がその家を出た12年間もの間に、
その家族の中で何があったかはわからない。


そんな12年ぶりに再会した家族は、
互いにどこかギスギスとして消耗し合っているようで、
笑顔の絶えない家庭なんかではなかった。


けれども、そこには「愛」は確かに存在していた。
けれども、お互いに愛し合う事を恐れているようにも見えた。


どこにでも存在しているようでどこにも存在していない家族。
強い絆があるようで、どこか希薄に見える関係性。
他人でもなければ、親友でも恋人でもない、
そんな家族という曖昧な関係性を淡々と描き出す。


12年ぶりの帰郷はどこかぎこちなくて、息苦しい。
なぜならそれは、12年ぶりの帰郷の意味を考えているからだ。
自分のみで精一杯の生活の中では、他人を支える余裕などないからだ。


そして、意を決して帰郷の意味を語ろうとしたその瞬間、
ギリギリで保たれていた均衡が一気に崩壊し、
音を立てているかのようにガラガラと崩れ去る。


本当は自分の世界の終りの話を誰も受け止められる余裕はなかった。
それをどこかで感づいていた兄は、
感情をぶちまける事で家族を守りたかったのかもしれない。


「12年も長い間、家をほっぽり出しておいて、いきなり戻って来ては、
 お前の世界の終りを聞かされて、俺たち家族はどうしろっていうんだ?!」


ただ、あまりに淡々と描きすぎてしまったあまりに、
物語の余白が多すぎて、イマイチ乗ることが出来ず、
結局、消化不良で終わってしまった作品だった。